お客様から「ガラスは種類が多すぎて何が何だか良くわからない」。「各メーカーのカタログを見てもグラフや数値がたくさん並んでおり、詳しすぎて何がいいのか分かりにくい」と言うご意見をよく聞きます。
このページでは一般のお客様でも分かりやすいようにできるだけ要約してご説明したいと思います。詳しくお知りになりたい方は各メーカーのホームページをご覧ください。
一般住宅で使われるガラスの種類は大きく分けて下の5種類ぐらいでしょうか(全て書き出していくとキリがないので)。あとはその組み合わせと考えてください。
例えば防犯ガラスと複層ガラスを組み合わせた防犯合わせ複層ガラスとか。Low-Eガラスと複層ガラスとを組み合わせた遮熱高断熱型Low-E複層ガラスとか(メーカーによって呼び方は様々です)。覚えるのは難しいですね。
板ガラス
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フロートガラス
一般的なガラス。厚みは3~5ミリの厚さがよく使用されます。一般住宅の窓にも使われており、透明度が高いため鏡や棚の扉、水槽などにも適しています。
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すりガラス
すり板ガラスは、フロート板ガラスの片面を金剛砂で摺ってつやを消し不透明に加工したガラスです。光を拡散しますが、すり面が汚れやすく、水にぬれると透明度が増してしまいます。
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型板ガラス
ガラス片面に型ロールで模様を施したり不透明にしたもの。
梨地・かすみガラスなどがあります。お風呂やトイレなど視線が気になる所に使われます。 -
網入りガラス
ガラスの中に金属の網が入っているため、破損時にガラスの破片が飛散せず、脱落しにくくなっています。
火災にも強くビルやマンションの開口部に使用されます。
強化ガラス
板ガラスを加熱急冷し、強度を3~5倍まで高めたもの。
当然割れにくく、万一割れた場合でもガラス全面が粒状になるため大けがを防ぎます。
学校やビルの窓、ドア、家庭ではガラステーブルなどに使われています。
強化ガラスの破損状況比較 商品 【日本板硝子社製品】
合わせガラス
2枚以上のガラスを柔軟な樹脂の膜で接着して作られます。
この中間膜の効果で、割れても破片が飛び散ることもなく非常に安全性が高いガラスです。
中間膜の厚さや材質を変えることにより、防犯ガラス・防災ガラス・防音ガラスなどと呼ばれるガラスになります。
合わせガラス破損状況比較 ※衝撃による破損
防犯ガラス
中間膜を強靭にすることで空き巣からのドライバーによる「こじ破り」やバールなどによる「打ち破り」に高い抵抗力を発揮します。中間膜にポリカーボネート板を使ったものなどもあり、ひと言で防犯ガラスと言っても種類・価格など幅広い商品があります。
ドライバーによるこじ破り 破損状況比較
防犯ガラス
防音性能の高い中間膜を挟み込んだ合わせガラスです。外部からの騒音をやわらげ、内部の生活音を外にもらしません。ただ、音はサッシや壁から伝わってくるケースが多いので、サッシも防音性能の高いものに交換することをお勧めします。また、より防音を求めるのであれば壁にも防音材を使うなどの措置が必要になってきます。
もっと手軽に防音性を高める方法としては内窓を取り付け、2重窓にするという方法もあります。
※内窓商品について詳しくは各メーカーのHPをご覧ください。
防災ガラス
耐貫通性能の高い中間膜を板ガラスの間に挟み込んだ合わせガラスです。
万が一、人が衝突しても人体が貫通することはありませんので、大怪我や落下事故といった被害の拡大を防止します。
またガラスが割れても脱落防止性能がありますので破片が落ちることはほとんどありません。学校やビル、公共施設で使用されています。
ショットバック試験 落下高さ75cm 商品 【日本板硝子「ラミベーン」】
Low-Eガラス
ビルや一般住宅で角度によって鏡のように見えるガラスを見かけると思いますが、それがLow-Eガラスです。ガラスの片面に特殊金属を吹き付け反射させることにより放射熱を防ぐ効果があります。要はガラスをサングラスのようにするみたいなものです。
Low-Eガラスはペアガラスとして使われることが多く、特殊金属膜の配置により遮熱タイプと断熱タイプがあります。
特殊金属膜を内壁側に配したものが断熱タイプ。外壁側に配したものが遮熱タイプです。まあ言うなれば鏡を室内側に向け室内の熱を反射させるか、外側に向け太陽熱を反射させるかの違いという感じでしょうか。
ちなみにLow-EとはLow Emissivity(低放射)の略です。
- 1 中空層
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乾燥中空層が複層ガラスの断熱性能を確保します。
- 2 アルミスペーサー
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ガラスの間隔を保ちます。また、ホロー部には乾燥剤が入っています。
- 3 乾燥剤
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中空層を長時間、乾燥状態に保ちます。
- 4 封着剤(二重シール構造)
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- 1次シール(内部側)
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ガラスとスペーサーの隙間から大気中の水分が侵入するのを防ぎます。
- 2次シール(外部側)
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複層ガラスの構造を保ち、1次シールを保護します。
遮熱型Low-E複層ガラス
太陽の直射熱を反射させ室内の温度上昇を防ぎます。
また冬場の断熱効果も断熱型と同等以上に期待できますので一年中快適に暮らせます。紫外線カット、省エネ効果もあります。
西日や強い日差しのお部屋に最適です。
高断熱型Low-E複層ガラス
冬の日差しを取り込みながら、室内の熱を逃がしません。暖房効率アップ、結露の軽減効果もあります。
北向きの部屋などで冬場寒い部屋などに向いています。
複層ガラス(ペアガラス)
複層ガラス(ペアガラス)とはスペーサーにより2枚のガラスの間に中空層を持たせたガラスです。
中空層には乾燥空気やアルゴンガスを注入したものや真空の商品などがあります。
よく合わせガラスとペアガラスを勘違いされる方がおられますが、合わせガラスは2枚のガラスを貼り合せるのに対し、ペアガラスは2枚のガラスに空間をもたせるガラスという違いがあります。したがってペアガラスでは使用するガラスの種類を変えることにより、様々な効果が得られます。(2枚の内、一枚ずつ別の種類にすることが多いです)
一般によく使われる商品は「板ガラス+乾燥空気+板ガラス」厚さ12mmでしょうか。
効果としては断熱・防音・結露防止などの効果があります。
メーカーでは、より効果を高めるために、または新しい効果を追加するために様々な商品を出しています。Low-Eガラスとフロートガラスを組み合わせた高断熱型Low-E複層ガラスとか、防犯合わせガラスと組み合わせた遮熱高断熱型複層ガラス防犯タイプや防音タイプなど多種多様です。詳しい商品情報は各メーカーのホームページをご覧ください。
このガラスの欠点は、メーカーでの受注生産品で、現場加工ができないこと、少しの割れ欠けでも中空層の気体が漏れ、ガラス内部が結露したり曇ったりしてしまうため交換しなければならないこと、ガラスが高価なこと、などでしょうか。
既存サッシのガラスをペアガラスに交換する場合、ペアガラスに厚みがあるため他の部分と干渉し取り付けられない場合やガラスの厚さに制限がある場合などがあります。
ペアガラスは断熱性・防音性・結露防止などで非常に有効なガラスですが、ガラスのみの交換では思ったような効果が得られない場合があります。結露防止の面で言うと、ガラス自体に結露は発生しなくても廻りのサッシがベチャベチャになってしまうケースも多いので、サッシも断熱性(防音性)の高いものに交換することをお勧めします。